7惑星集合の機会を調べてみた
2022年6月中旬から7月上旬ごろは,明け方の空に太陽系の7惑星(地球以外)が全部見えている.
頻繁に起こることではないだろうが,一生に一度のチャンスというわけでもなさそうだとも思い,検証した記録.
■条件:
日の出30分前,もしくは日の入り30分後の時点で,7惑星が高度5度より高いこと(場所は東京).実際は,金星はもっと低くても見えるだろうとか,反対に天王星や海王星は30分で5度では見えないだろうとかの条件もあるが,ひとまず無視.
■方法:
ステラナビゲータでスクリプトにより計算(詳細略).
■結果:
1980年以降2100年までの期間で,10回.
以下で星図は見やすい日や時刻を選んで掲載(30分固定ではない).図は全部クリックすると大きくなる(はず).
1:1984年1月上旬~2月上旬 明け方
水星はまずまず,天王星や海王星もそこそこ高度があり(かつ,海王星は金星や木星と近くて見つけやすい),冬で透明度が良いと,かなり好条件だった.
2:1996年6月下旬 明け方
金星が見えたら水星も見つかったはず.天王星と海王星が太陽から遠いほうにあるのも少し好都合だったかも.
3:1997年11月下旬~12月上旬 夕方
水星こそ低いものの,冬の透明度のおかげで条件はかなり良かったはず.土星だけ寂しそう.
4:2020年7月中旬 明け方
前回.20年以上ぶりの機会だったようだ.天王星と海王星がかなり高いのは好条件だった.空を大きく見渡すダイナミックさが特徴.水星が昇ってくると木星が低くなっていくというバランスの見極めが重要だった,のかな,当時は.
5:2022年6月中旬~7月上旬 明け方
今回.惑星同士の間隔がわりと均等(6月24日にして月も入れればなお良し)で美しい.後述するが,明るい5惑星が「水金火木土」の順に並んでいるのはかなり珍しく,この点では他に比べて希少価値アップかも.梅雨なのは仕方ない.
6:2022年12月下旬 夕方
次回.水星が(金星が近くて)見つけやすく,天王星と海王星の高度があり,冬の透明度の良さ,夕方(明け方よりも生活リズム上で好都合)と,最高条件に近いかもしれない.クリスマスに観察会を企画してはどうか.
7:2025年2月下旬 夕方
海王星が太陽に近いほうの低空なので,実際に見るのはかなり難しいと思う.
8:2060年11月中旬 明け方
天王星が太陽に近いほうの低空なので,これも実際に見るのは難しそう.40年も経つと天王星と海王星がこんなに離れるんだ,という驚き.
9:2061年5月上旬~下旬 夕方
海王星やや低めだが土星が目印になる,また天王星も低めだが太陽と反対,なので,見える可能性はじゅうぶんある.ただし個人的には(生きているとしても)目がダメになってそう.
10:2066年5月下旬~6月上旬 夕方
21世紀最後の機会.海王星が低すぎるので実際上はかなり難しそう.
■考察:
最初「今回(2022年6月)の前が2年前,次が半年後なので,7惑星が揃うのはそんなに珍しくもないんでしょう?」と思って調べ始めたが,(条件の選び方次第とはいえ)40年近くも起こらないとか,起こっても見づらいとかで,逆に「今回(と次回)に見ておかないと生涯で二度となさそう」と感じた.
とはいえ今回は梅雨空で厳しそうなので,年末に期待.スカイデッキで見えるかな.海王星をどうするかが問題.
■発展:
結果の5にあるように,今回は「明るい5惑星が水金火木土」の順に並んでいて面白い.このような並び順になる機会も調べてみた(30分で3度以上,天王星と海王星は考慮しない).
前回は1966年8月の明け方だが,土星が他の4つから離れすぎていたようだ.
今回は約55年ぶり.繰り返しになるが間隔がわりと揃っているのも良い.
で,次回は約40年後の2060年10~11月の明け方.少しまとまりがない.
さらにその次は2067年3月の明け方.また土星が離れすぎ.で,これが21世紀の最後の機会.
というわけで,これは今冬のチャンスはないので,何とかこの梅雨の晴れ間に見ておかないといけない(または40年後まで健康でいるか).
■総まとめ:
- 今回は偶然,2年半で3回もチャンスがある(あった)が,長期的にはやはり,かなり珍しい.
- 今回も見ておきたいが(水金火木土の並びは貴重),今年末の機会はもっとチャンス.見たり撮ったりの計画を早めに.
- 40年後も何とか見えるといいな.